「20年ほど前のことですよ。熱中症になってしまうなんて、今考えると、治療技術が未熟でしたね。」

「20年も前のことなんですか」と町会長。

「7月も終わりに近い、焼けつくような夏の日でした。子供を連れてサマーランドに行ったときのことです。」

「そのとき、熱中症になってしまったのですか」と町会長。

「そうなんですよ。プールで3時間ほど遊んでから、コーヒーカップに乗り、当時8歳だった健太郎がカップをグルグルと高速でまわすと、とたんに気分が悪くなり吐き気がしてきました。」

「コーヒーカップで熱中症になってしまったのですか」と町会長。

「そうなんですよ。コーヒーカップで止めておけばよかったのですが、たまの家族サービスだったので、チューリップにも乗ってしまいました。」

「チューリップでさらに症状が悪化したのですか」と町会長。

「そうなんですよ。気分がさらに悪くなり、心臓が苦しくなりました。脈を診ると、肝経と心経の気が止まっていました。」

「自分で脈が診断できると便利ですね」と町会長。

「そうなんですよ。肝経と心経に気を流すと、気分が良くなったので、スペースシャトルに乗ったのが間違いでした。」

「家族サービスを頑張ってしまったのですね」と町会長。

「そうなんですよ。シャトルが動き始めると、たちまち気分が悪くなり、大きく左右にゆれだすと胃がむかむかして心臓が苦しくなってきました。左手の心経と肝経に必死で気を流し、硬くなってきた左胸を緩めようとしましたが、体が上下にひっくり返った状態なので、どうにもなりません。シャトルがやっと降りて止まったとき、『死なずにすんだ』と思いましたよ。」

「熱中症と言うのは、心臓に問題が起こるのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。熱中症は肝臓が熱に弱いために、暑いところに長時間いると起こります。肝臓の機能が低下すると、筋肉や内臓、脳などに委縮が起こるのですが、特に心臓に対する経絡的な影響が大きく、心臓の委縮に伴って、脾経を中心にした大きな経絡の連鎖が起こり、全身が委縮してしまいます。」

「肝臓の機能が低下するので、心臓が委縮して苦しくなるのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。先ほど話した心臓防御反応が起こって、心臓に負担がかからないように、脳や内臓の機能が一気に低下します。家に帰って、チェックしてみると、左半身がねじれてしまい、左側の肋骨と肋骨間の筋肉が縮んで、硬くなっていました。特に肋骨の4、5番の体中央に近い部分が極端に硬くなっていました。ちょうど心臓があるあたりです。背中側も、心臓病患者に特有の硬結が肩甲骨の周りにできていました。すさまじい壊れ方でしたね。」

「どうやって治療したのですか」と町会長。

「操気系治療術を創始する直前だったので、赤外線レーザーを使って、胸部にできた硬結や肩甲骨の周りにできた硬結を緩めました。」

「そのくらい体が壊れると日常生活に問題が生じるのではありませんか」と町会長。

「硬結を緩めても、緩めても下から硬結が上がって来る状態の繰り返しで、6日目になっても、冷房が効いたところや暑いところに行くと心臓が苦しくなりました。」

「心臓が苦しいのは、いつまで続いたのですか」と町会長。

「はっきり覚えていませんが、手が届きにくくて、自分で治療がしにくい心兪と言うツボを緩めたら、症状が消えました。」

「熱中症になると、脳も委縮するのですか」と町会長。

「脳も肝経の支配下にあるので、肝臓の機能低下に伴って委縮し、機能低下したはずなのですが、脳の機能が低下したのには気がつきませんでした。」

「でも、その時、小脳が機能低下したのではないですか」と町会長。

「そのときは気がつきませんでしたが、熱中症になると、脳が委縮して可動性が低下するため、思い切り機能低下したはずです。内臓の管理能力も低下するので、体力が低下して、老化が進んだはずです。」

「それでは、熱中症になった人は、脳や内臓が機能低下しているため、新型コロナウイルスで重症化しやすいということになるのですか」と町会長。

「僕の仮説が正しければ、そういうことになりますね。」

2020/4/27